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- 翻 刻
- 現代語訳
べきである。
一、また曰く、妻と離別すべきであっても
離別できない理由が三つある。その一つ目
は、最初(婚姻時)にいた妻の親族が
離別の段階になって死んでいたり、
あるいは非常に不便な状況にある者があり、
(離別後に)
妻の帰る場所がない時には、
仕方なく離別すべきではない。二つ目に
父母の孝行をよくつとめ、父母の
死後三年忌みの後も孝行をしっかりと
つとめたならば、
父母との付き合いも深いので
離別すべきではない。三つ目に婚礼の
際に自身(夫)の家が貧乏で妻を迎えて、
その後、家が富貴となり
華美を好み栄華を誇るようになったならば
〔離別すべきではない。〕(後欠)
ニ而候、
一 又曰、妻可致離別事有之候而も
離別難叶訳三ツ有之候、一ニ者曰
㝡前之程者妻之親類族人
被罷居㝡最離別之涯ニ差当候而妻之親類族人
或ハ死後或至極不便之方
有之、妻之可帰居宅無之候ハ丶、
無是非不可叶離別候、二ツ曰
父母之孝行能相勤、父母
至死後茂三年之忌ニ相係り
後之孝行も能相勤候ハ丶
舅姑親之取合深き故
不可致離別、三ツ曰婚礼之
時ニ者我家貧賤ニ而妻相迎
到後「ニ」家内冨貴ニ相成候とも
華美を好、栄華ニ誇候ハ丶不可致