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- 翻 刻
- 現代語訳
あるいはもしかすると免職になるのではな
いかと、見苦しい行為で
主君のご機嫌取りをして
軽薄なことのみを申し上げて、その心持ち
はだんだんと動じなくなり、ついに
尻の痔を「なしぶり」、馬を指して鹿である
と言われても、
(事実を)知りながら(主君を)欺くのは驚
くばかりである。そして主君をも欺くと、
ついに主君を殺すという邪道の極みとなる
(のは必定である)。誠に慎むべきである。
一、孟子曰く、善事は実行しがたいことを
主君に進言し、さらに善事の話しを
主君に申し上げることで、主君の邪心を止
めるのは、
誠に我が主君を慎み敬う善人である。
もし、我が主君が臣下の諫言を聞き入れ
仕、或ハ若や被召迦候半与、見苦敷
仕形ニ而君之御機嫌を取り
輕白之事而已申上、其肝持
漸々深々成行候ハ丶終ニハ
尻之痔をもなしふり、馬をも鹿
成与被仰付候ハ丶存なからも欺候而
〔畏〕入候、左候而君を奉〔欺候ハ丶〕
〔終には〕君を茂可差殺之〔 〕
無道至与御座候誠可慎ニ而候、
一 孟子曰善事之難行事
君ニ奉進、且又善事之噺を
申上君之邪心を相止申儀者
誠我君ヲ恭敬する之善人ニ候、
若又我君者臣下之諫言御聞入