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  • 現代語訳

一荼毘之時、家内人数者悲嘆甚敷前後
 忘却候、親族縁者其外取合親敷方者、
 米銭塩粥抔各心次第可遣之候、不如意之方者
 別而其見合可有之候、此儀人情題目之事候、
 跡々荼毘之後、菓子盛合抔持参、墓所
 為致見舞儀候得共慰事之様有之、
    妨
 孝情之■不宜ニ付而禁制申付置候、亭主
                  方より茂
 荼毘之時、赤飯抔を以祝儀之様差当置候、
 <馳走為有之儀不宜付而、是茂差留置候、>
 向後働人迄塩粥抔致馳走、尤遠方より
 差越候方見舞人之内馳走不仕候而不叶
 人数者、休迄致馳走可然候、上下共件之
 心得を以荼毘之情礼正敷相勤候儀可為肝要事、
  附、火難之儀、不如意之災殃ニ而別而差迫
    可致迷惑候間、親族縁者其外取合
       方者
    親敷■、何色ニ而も合力之志可為肝要
    候、
    是亦人情題目之事

一、荼毘(葬式)の時、家内(家族)の者たち
は悲しみで一杯なため前後を忘却するものであ
る。親族や縁者、その他親しく交際していた人
は米・銭・塩・粥などを心次第で贈るべきでる。
不如意(生活が貧しい)の者は、特に(贈品は)
見合わせるべきである。このことは人情として
重要なことである。以前には葬式の後に、菓子
の盛合などを持参し、墓所へ見舞うこともあっ
たが、慰み事(宴会)の様になっている。孝情(親
孝行の情意)の妨げとなり宜しくないので禁止
するよう通達しておいた。亭主方(喪主)から
も葬式の際、赤飯などを出して祝儀の様に振る
舞うことは宜しくないため、このことも禁止と
した。
今後、(葬儀で)従事した者達でけに塩・粥など
を振る舞うこと。ただし、遠方から出向いてき
た見舞い人で馳走しなければならない者達だけ
は、休み(軽食)で持てなすのはよい。上の身
分も下の身分の者も、このことを心得て、葬式
の情礼に従って正しく勤めることが大事である。
  付けたり。火災は、不意の災難であり、特
に(生計が)逼迫して困ることなるので、親族・
援助やその他親しく交際している者は、どのよ
うな物品であっても援助の志しを示すのが肝要
である。これもまた人情という点で重大なこと
である。
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