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  • 現代語訳

一銀銭之類者人々当用之物候、然共常々
 義理正道之心懸無之候得者、損得之場ニ
 差当候時、慾心差起、色々才覚之働入精、
 世間之批判不顧、或口論仕出及罪科、
 段々不宜儀、皆以義理正道之心掛無之故
 候哉、慾心之才覚者縦令余所之知不申様ニ
 仕置候共、自分之心中ニ者恥敷可有之候、
 件之才覚を以家中致豊満候より者<迚茂義理
 正道にして逼迫之住居者>抜群
 相増可申候、右之心得を以万事正道
 可致執行事、
一時・よた之儀、其身之渡世を題目存、色々
 戯(虚)言申立、人を相誑候ニ付而、堅禁制
 申付
 置候、右類之挙動有之者、皆以世間之妨
 候間、上下共其心得可有之事、
一病人之家中、或死霊、或生霊抔与申方も
 間々有之由候、生霊与申ハ法術を以人を悩

一、銀銭の類は、人にとって当用(さし当たっ
て必要な)物である。ところが、常日頃から義
理正道の心がけが無いならば、損得(利害)の
場に直面した時に、欲心(欲張りな考え)を引
き起こし、色々とずる賢く立ち回り、世間の批
難も顧みず、あるいは口論から処罰されること
にもなり、あれこれと宜しくない。そのことは
全て、義理正道の心がけが無いためである。欲
心から起こる狡知は、たとえ他人に知られない
ようにしたとしても当人の心中としては恥ずべ
きことである。このような才覚(狡知)によっ
て世帯を富裕にするよりも、義理政道に(暮らし)
逼迫して(貧しく)住む者は抜群に(優れてい
る?)と言える。
右の心得をもとに万事において正道に執り行う
べきである。
一、時・ヨタは、自身の渡世(生計)を第一に考え、
色々と虚言を言い立てて人を誑かす(騙す)ので、
堅く禁じてきた。この類の挙動を行う者は、皆、
世間の妨げとなるため、上の身分も下の身分の
者もともに、そのことを理解しておくこと。
一、病人のいる家庭で死霊や生霊などと言う者
が間々いるとのことである。生霊は法術によっ
て人を悩ます(苦しめる)とのことだが、
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