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  • 現代語訳

多々有之候、縦令色色薬を用養生相叶候共、
 其身之苦家中之痛勿論之事候、上下共
 件之心得を以随分大切ニ可致身持候、若
 忠孝之儀ニ付而、身を可捨訳差当候共(ハヽカ)、
 其時
 露程茂不惜相働候儀、末代迄之高名、
 先祖子孫之面目ニ候、其余之儀ニ付而軽々敷
 身を捨候ハヽ、愚痴之挙動甚以不宜事候、
        為
 常々其了簡可肝要事、
一酒之儀、及酔不申様可用之候、及酔候儀者
 身命之痛、家法之支、風俗之妨旁以
 不宜儀、上下共存知之前候、且又女色を好候儀、
 其身之名折、家中之痛、尤風俗之妨
 甚不宜儀、是亦上下共存知之前ニ候、酒色之儀、
 段々之支有之候付而、委細別紙を以科付迄
 申渡置候、諸士・百姓共件之訳得与致落着、
 各
 其慎可為肝要事、

たとえ色々な薬で養生できたとしても、当人の
苦しみ(だけでなく)家族の痛みも自明である。
上下(上の身分も下の身分も)ともに、そのこ
とを心得て随分と身体を大切にすべきである。
もしも、忠孝との関わりで身命を投げ打つよう
な事態に直面した場合には、その時は露ほども
(身命を)惜しまず働くこと。そのことで末代ま
で名を挙げ、先祖や子孫の面目(名誉)となる。
それ以外では軽々しく身命を捨てることは愚痴
(無知蒙昧)至極の挙動(行為)であり、はなは
だ宜しくない。常日頃からそのことの了簡(理解)
が肝心である。
一、酒について、酔わない程度で用いる(飲酒)
べきである。酔いに及ぶことは身体を痛め、家
法の支障となり、風俗(美風)の妨げとなるな
ど色々と宜しくない。そのことは、上下(上の
身分も下の身分も)ともに(皆)当然知ってい
ることだ。また、女色を好むことは、当人の不
名誉となり、一家の痛み(苦悩)となり、とり
わけ風俗の妨げとなり色々宜しくないことは上
下ともに当然知っていることだ。酒色は(とも
に)、あれこれと支障があるため、詳しくは別紙
によって処罰を布達しておいた。諸士・百姓は
ともに、これらの理由を十分に納得し、各自(酒
色を)慎むことが肝要である
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