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  • 現代語訳

罷居候、親族縁者者不及申、雖為他人
 大切ニ存、其取持可有之候、老体之人とて
 或欺之、或侮之候者、畢竟天性孝心之
 薄故ニ候、上下共孝心題目ニ存、ケ様之老人
 者
 世上之宝物与相心得、別而大切可致取持事、
一親族縁者之内、逼迫之方者別而致親愛、
 折々其心付有之儀、人情題目之事候、
 然處親類始或者疎之、或者侮之候儀、天性
 忘却之筋誠不宜事候、右不如意之儀、
 多分不幸之訳打続候歟、抑不果報之仕合
 候歟、又者愚鈍之生付ニ而候歟、皆以無是非
           可
 次第候、弥以憐愛いたし、成程者彼行末
 能様計得可有之事、
一下人召仕候儀、如何ニ茂憐愛題目存、教訓
 相加可召仕候、其内入念奉公仕候者ハ、其心
 付を以
 為彼能様計得候儀、主人之職分ニ候、件之

親族や縁者は言うまでもなく、他人であっても
(その人を)大切に考えて接するべきである。老
体の者を欺いたり、あるいは侮蔑する者は、要
するに天性において孝心が薄いからである。上
下(上の身分も下の身分も)ともに、孝心を重
視して、このような老人は世の中の宝物と心得
て、特に大切に接遇すべきである。
一、親族や縁者の中で窮迫(貧乏)な者には特
に親愛をもって時どき差し入れる(援助する)
ことが人情として大事である。ところが、親類
をはじめ(その貧乏な者を)疎んじたり、嘲っ
たりすることは、天性において(大事なことを)
忘却する筋合いであり、誠に(本当に)宜しく
ない。このように貧窮の(原因)は多くは(そ
の家族に)不幸が打ち続いたり、そもそも不運
な境遇の下にあったり、または生まれつき愚鈍
であったりなど、これらは皆、仕方の無いこと
である。このからより一層、隣愛を加え、出来
るだけその当人の将来のために良くなるように
配慮すべきである。
一、下人(下男)を召使いとして働かせる際は、
いかにも隣愛を重んじ教訓を加えて働かせるべ
きである。その内、熱心に奉公する者に対しては、
その見返りとして当人の為になるよう考慮する
ことが、主人としての勤めであ
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