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  • 現代語訳

別而無油断教訓専一候、家中之盛衰
 之儀者子共之善悪次第罷成候儀、何連も
 存知之前ニ候、然處自分好之物ニ者夜白
 入念、子共ニ付而夫程之念力無之、軽重
 忘却之筋甚以不可然候、右之訳
 得与致了簡、子共相素立候儀、可為
 要務事、
一貴人・富人之子共者、別而教訓肝要候、
 栄花ニ相素立候故、其身之行末致忘却、
 或勤方ニ付而油断有之、或不顧分限
 心之儘物数寄いたし、或驕を差挾、
 諸人ニ被疎、ケ様之類多々可有之候、
 父存命之内兎哉角可相済候得共、
 父死後ニ罷成候ハヽ、必至与及迷惑候儀
 案中之事候、此了簡を以兼々教訓可相加事、
一出嫁之女子者、舅姑之為三年之

その間は、特に油断することなく教育すること
が大事である。家族の盛衰は子供の善悪による
ことは、誰でも当然のこととして知ってる。と
ころが、(親が)自分の趣味に日夜打ち込み、子
供(の教育)に無関心であることは、(事の)軽
重について忘却(無理解)なことであり、非常
に宜しくない。この道理を十分に理解して子供
を育てることが肝要である。
一、貴人や裕福な(家庭の)子供は、特に教育
が肝心である。
栄華(贅沢)に養育されてるため、当人は将来
について想像することもない。あるいは勤め方
(生計)について無頓着である。あるいは財産を
考慮せず勝手気ままに趣味に明け暮れたり、あ
るいは驕り高ぶって他人から疎まれる。このよ
うな類いの者が多く見られる。父親が存命の間
は何とか過ごすことができるが、父親の死後に
おいては(家族の)迷惑となることは必然である。
このことの了簡(分別、思慮)させ、常日頃か
ら教訓を加えるべきである。
一、出嫁した女子は、舅・姑のために三年の忌
がある。
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