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  • 現代語訳

一兄弟舅甥之類者、天性之親敷者候、
 其妻々迄も此心得を以、如何ニ茂睦敷
 取合可致候、然共右妻々之儀、依時ハ
 各致勘違、不和之基差起候儀も
 可有之候、且又兄弟舅甥ニ茂慾心
 被隔、天性之情愛礑致定(忘)却候方も
 可有之候、此儀皆以愚痴之挙動、
 人倫之妨甚不宜候、何連茂天性之
 取合大切ニ存、互致情愛候儀可為
 最要事、
一子共素立候儀、家中題目之勤候、
 幼稚之時より気持・心持・言語・仕形之類、
 能々入念教訓可相加候、尤見馴・
 聞馴之善悪次第ニも可致変化候間、
 是又能々可有心得候、大抵弐拾歳迄ニ者
 子共善悪之差分可相定候、其内

一、兄弟や舅(しゅうと・おじ:配偶者の父親)、
甥(しょう・おい:自分の姉妹の子)の類は、
天性として親しい者である。そのことを妻たち
も心得て、いかにも仲睦まじく交際すべきであ
る。ところが、妻たちで時には勘違いをして不
和の原因となることもあろう。また、兄弟舅甥
も欲心によって隔意(ぎくしゃく)して、天性
の情愛をすっかり忘れている者もあろう。この
ことは皆、愚痴蒙昧な挙動であり、人倫の妨げ
となり非常に宜しくない。どの者も天性の
付き合いを大切に考えて、お互いに情愛をもっ
て接することが特に大事である。
一、子供を育てることは、家庭において題目(重
要)な勤めである。幼稚(幼少)の頃から気持、
心持ち、言葉(使い)、仕形(行動)の類いにつ
いて、十分に念を入れて教訓(教育)すべきで
ある。なお、見馴れ聞馴れ(見聞、習慣)は善
悪次第で変化するものであるから、このことを
十分に心得ておくべきである。およそ二十歳ま
でに子供は善悪の区別がつくようすべきである。
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