9ページ目

ページ数:009(全25ページ中)
  • 翻 刻
  • 現代語訳

一人間之道与申者、孝行題目ニ候、孝行与
 申者諸士・百姓共其身之行跡題目にして、
 家中人数其外親類縁者至迄睦敷
 取合、尤御奉公人者国家之為何篇
 入精、又百姓等ハ家業無油断相働、各
 件之勤を以父母安心させ候儀、孝行申事候、
 若行跡不宜、或家中親類縁者之取合
 不睦、或御奉公ニ付而忠義之心立無之、
 或家業之働致油断、ケ様之不届共有之候而ハ、
 何程父母ニ衣食之類結構相備候共、父母
 安心無之積候、此心得を以諸士・百姓共
 孝行之勤可致執行事、
一本宗正統之嫡家者、則一門之根源ニ候、
     者
 一門之儀元租一人之孫々ニ而、骨肉一体之筋
 候間、如何ニ茂睦敷取合、就中嫡家ハ何連も
 ニ而
 其取持有之儀、孝道之大本ニ候、上下共

一、人間の道と言うのは孝行が題目(重要、核心)
である。孝行と言うのは、諸士・百姓ともにそ
の身の行跡(行為、行動)を題目にして、家中
人数(家族)やその他、親類縁者に至るまで睦
じく交際すること。なお、御奉公人は国家の為
に何事にも精を入れ、また百姓等は家業を油断
無く働き、それぞれの勤めによって父母を安心
させることが孝行と言うものである。
 もし行跡が悪く、あるいは家中(家族)や親
類縁者との交際(付き合い)も不仲であったり、
あるいは御奉公について忠義の心立て(心構え)
が無く、
あるいは家業の働きを油断(存在に)するなど、
この様な不届き(いい加減な)のことがあって
はどれ程、父母へ衣食などを十分に提供したと
しても、父母は安心できないであろう。このこ
とを心がけて、諸士・百姓ともに孝行の勤めを
行うべきである。
一本宗正統(本家筋)の嫡家は、即ち一門の根
源である。一門というのは元租一人(を起点と
して)孫々に至っているのであり、骨肉一体の
筋である。そのため、いかにも睦じく交際し、
取り分け嫡家に対しては、(分家、支流)のいず
れも(皆)、取持ち(処遇)することが孝道の大
本(大原則)である。上下(上の身分も下の身
分も)ともに、
横にスクロールをして閲覧してください