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  • 現代語訳

相納、尤各家中年増有附候様、万事
 相働候儀、百姓之職分候、件之通相働不申ハ
 上納方致未進、家中漸々及衰微、畢竟
 各子孫之為不罷成儀決定之事候、
 就中耕作方、時々風旱之妨有之儀も各
 存知之前候、常々其考を以何篇無油断、
 入精候儀可為要勤事、
一諸細工、又者店を開致商売候儀、皆以
 渡世之働候得共、畢竟国用成勤候、然者
 諸士之内ニ茂得手次第細工相勤、亦者
 店を開品物致通用候儀、国用之勤候、是又
 御奉公之筋何そ不苦候、此心得を以各家中
 之営入精、子共相素立候儀可為肝要事、
   附、諸士・百姓共国用ニ可成品物者、
   何色ニ而も
   仕出候様心掛可有之候、
   以上七ヶ条者、士農工商之働申述候、

なお各世帯は年々食料を得られるように万事に
おいて働くことが百姓の職分(本分)である。
このように働かなければ年貢の未納となり、家
中(家庭)が次第に衰微し、結局、子孫のため
にもならないことは必然である。
 取り分け農業において、時折、台風や旱魃の
災害に逢うことは、各人が承知している通りで
ある。常日頃からそれらの事を考慮して何事に
も油断せず、精を入れることが(百姓の)大事
な勤めである。
一、諸細工(職人)や店を開いて商売すること
(商人)は、それらは皆、生計を得るための働き
であるが、結局は国用となる勤めである。つい
ては諸士の中で得手次第(取り柄に応じて)細
工を勤め、あるいは店を開いて品物を商うこと
は、国用の勤めであり、このこともまた御奉公
となるものであり、差し支えは無い。このよう
に理解して各世帯の営みに精を入れ、子供を育
てることは肝要なことである。
 付けたり、諸士と百姓達は国用になる品物に
ついては、どのような物であっても生産するよ
うに心がけるべきである。
 以上の七ヶ条は、士農工商の働き(職分・任務・
使命)について述べたものである。
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