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  • 現代語訳

此了簡を以士之節儀大切ニ存、万端正道
 可致執行事、
一地頭職之儀、国土題目之百姓被召授、誠以
 不軽役目ニ候、就中惣地頭職之儀、さはくり
 役之人柄迄其見立を以被仰付御事候得者、
 弥以義理正道之計得専一存、其働不仕ハ
 不叶職分ニ候、然處常々件之心掛無之
                   故候哉、
 或財慾付而色々致才覚、百姓之痛茂
 不顧、或気随意之仕形共有之、段々不屈
 ニ付而、其沙汰為被仰付方も有之候、百姓
   者
 之儀、諸事難儀之勤而已有之、畢竟
 憐敷者候、何連茂存知之通百姓及衰微
 候ハヽ、国土之衰微勿論之事候、件之心得を
 以
 地頭人能々入念、百姓不痛様何篇相計得、
 尤さはくり中ニも此趣致熟談、万端正道
 相勤候儀、可為題目事、

十分にそのことを理解し、士の節義(道理、モ
ラル)を重要視して、万事、正道に行動すべき
である。
一、地頭職について。国土で大事な百姓を管轄
する役目を(地頭職として)授けられており、
誠に軽くない役目である。取り分け、惣地頭職は、
さばくり役(捌理=地方役人)の人品を評定し
て任命するため、なおさら義理正道(公明正大)
を心がけなければならない職務である。
 ところが、常日頃、そのような心がけがない
ためか、あるいは財欲に駆られて色々と悪知恵
を働かせて百姓の苦労を顧みない者や、
(百姓へ)我がまま勝手に振る舞う者もいる。あ
れこれ不届き(違法)なため処罰される者もいる。
 百姓というものは、諸事において難儀な勤め
ばかりを担わされており、ことさら憐れむべき
である。皆が承知しているように、百姓が疲弊
すると国土が衰微することは必然である。
 そのことを理解して地頭は十分に念を入れて
百姓の痛みとならないように万事にわたって考
慮すること。なお地方役人にもこの趣旨を理解
させ、万事、公正に勤めることが重要である。
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