5ページ目

ページ数:005(全9ページ中)
  • 翻 刻
  • 現代語訳

「5
〔欠〕道致て御座れは。出家は魚をこうたかぬ。女房
をもつとかぬと。いろくふ無理なことを云れまする
に依之。拵ぬといへい。今の様にたきくるらてのけ
やうと云て。すてにもつて。おふないめに合ました。
こなたのよい所へいわ被下て。わまの命を
       さかいて
ひるひました。扨〃からける山伏て御座る
            アト
のう。先夫に御祢ねやれ。心得ました。
さかいて
是之御山伏おの出家は。道列しやきなか
                  シテ
なせに。こゝの様におくかつしやる。◦さらはおき
やれ。此かけで山伏にばそ、いかなる貴人高人も
下馬をめさる、其上身共の行只は、とつして
居わよ依之。下飛鳥をもいのりおとす、おの生くさい
出家の分としてくちへんとうを致し、無外もの
しや打殺してのこるそ、こを御のきやれ
さかいて
いや〳〵某かるからは。其様な。強儀な事は

「5
(アト)
「もし一緒に旅をするのであれば、私は魚を買うかどうか、女房を持つかどうか、無理なことを色々と言われ続けるでしょう。
しかし、私は何もしていないのに、今のようにしつこく責め立てられ、追い詰められてしまいました。
そして、危うく命を落とすところでした。どうか、この良い場所にいさせてください。
おかげで私は命を拾うことができました。」
(サカイテ = 仲裁する者)
「さてさて、とんでもない山伏だな! まずは彼(アト)に謝れ。」
(アト)
「心得ました。」
(サカイテ)
「さて、山伏よ。この出家はお前と一緒に旅をするのを嫌がっているのに、どうしてここまで強引に連れて行こうとするのだ?」
(シテ)
「それなら、好きにさせよう。
だがな、これだけは言っておく。山伏というものは、どんな高貴な人間でも下馬させるほどの力を持っているのだぞ。
それに、私の修行の力があれば、鳥さえも落とすことができる。
そんな尊い身である私に対して、この生臭い出家ごときが口答えをするのか?
まったくもって許しがたい! 殺してしまうぞ! さっさとそこをどけ!」
(サカイテ)
「いやいや、私がいる限り、そんな無茶なことはさせません!」
横にスクロールをして閲覧してください