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「4
       シテ
知りません。◦いや〳〵魚はくわすとも、女房はすき
             アト
て有う、いくわり御按やつた、爰な人は。いはして
うけは(ルビ:ヲキは)。ほうりうもない。ことをわしやる。おきも
                 シテ
るいも計。其様な事はそんしません。いや己、云
いなになへては仕様がある、しかと云をまいか、
アト             シテ
と云ていはぬ時。は何とめさる。◦なんとめさるとは、
己は、にくいやつの、打くにしてのれやう、
アト
おゝかなしや。誰もないか。取さいてこれい〳〵。
さかいて
是〃御山伏。先是はとうした事て御座る。
シテ
慮外者さ、打こなしてのこるはこうおのきやれ、
さかいて
いや〳〵身共のこなからは。其様な強儀なことはさせ
             シテ  さかいて
ません。まつ夫に御まつやれ。心得た、是〃御
出家。先是はとうしたことて御座る。
アト
扨申聞て来ませい。てなたよい所へ出て被下て。
かたしけなふ御座りまする。あの山伏は。とこの
人とも好ぬら。道列をしうと。被致まするに依之。

「4
(シテ)
「いやいや、お前が魚を食べるのは認めるとしても、女房(妻)を持つことの方が好きだろう? 何人の妻を持ったのだ?」
(アト)
「こんな話をする人とは、言い争っても仕方がありません。まったく困ったものだ。私はそのようなことを考えたこともありません!」
(シテ)
「いやいや、お前はそう言うが、どうなのだ? 本当に何もないのか?」
(アト)
「そんなことを言っても、もし私が話さなかったら、お前はどうするつもりだ?」
(シテ)
「どうするつもりか? それならば、憎らしい奴め、殴ってやるぞ!」
(アト)
「ああ、なんと嘆かわしいことか! だれかいないか、助けてくれ!」
(サカイテ = 仲裁する者)
「こらこら、山伏! これは一体どうしたことか?」
(シテ)
「この不届き者め! 殴りつけてやる!」
(サカイテ)
「いやいや、それはいかん! そんな乱暴なことはさせません。どうか落ち着いてください。」
(シテ)
「わかった。」
(サカイテ)
「さて、出家よ。これは一体どうしたことなのだ?」
(アト)
「さて、お聞きください。ありがたいことに、私は良い場所に身を寄せることができました。かたじけないことです。あの山伏は、誰彼構わず道連れにしようとするのです。」
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