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  • 現代語訳

「2
シテ
◦:屋一段の宿〔欠〕参る、先もすをかきやう、のう〳〵是〳〵、
アト
◦やあ〳〵こちの書て御座りまするが。
シテ
◦中〳〵、わこりうはとれからとれへ御行やる、
アト
私は都へ登りまするか。何にそ御用てばし
          シテ    アト  シテ
御座りまするか。◦何都へ行、はあ。◦身共も
         アト
都へ行、同道致さう、いや私は出家のもて御座れは。
御列には似合ますまい。私は御先へ参りませう。
シテ
◦〔欠〕には似合たも有り、また似合ぬもある
        アト
〔欠〕必同道致さう、必御先へ参りませう
シテ
◦いや是々是ほと云に同道めさるまいか、
アト        シテ   アト
はあ。致ませう〳〵。◦何せう、致ませう〳〵。
シテ
◦是はされもしや(ルビ:コリワサリコトサワ)、気に御掛やるな、
アト
とをいれされもて御座りませう
シテ          アト
◦さあ〳〵先へ御行やれ、何か扨こなた。御先
         シテ
へ御座りませい。◦それなうは身共から行ふ
                      アト
さあ〳〵を(ルビ:をらやれ〳〵)〔欠〕やれ〳〵、参りまする。

「2
(シテ)
「一晩の宿を求めてやってきた。さて、どうしたものか。」
(アト)
「やあやあ、こちらにお書きになっていらっしゃるのはどなたですか?」
(シテ)
「おお、お前はどこへ行くのか?」
(アト)
「私は都へ上ります。何かご用事がおありですか?」
(シテ)
「お前は都へ行くのか?」
(アト)
「はい。」
(シテ)
「私も都へ行く。同道しようではないか。」
(アト)
「いや、私は出家の身ですので、ご一緒するのはふさわしくありますまい。私は先に参ります。」
(シテ)
「同行するのにふさわしいこともあれば、ふさわしくないこともある。しかし、ぜひ一緒に行こう。」
(アト)
「いや、私は先に参ります。」
(シテ)
「いやいや、そんなことを言わずに、一緒に行こうではないか。」
(アト)
「……では、ご一緒いたしましょう。」
(シテ)
「何と?」
(アト)
「ご一緒いたしましょう。」
(シテ)
「これはめでたいことだ。気にせず、ゆっくり行こう。」
(アト)
「それでは、参りましょう。」
(シテ)
「では、まずお前が先に行け。」
(アト)
「いやいや、そちらが先にお進みください。」
(シテ)
「では、私が先に行こう。」
(シテ)
「さあ、進もう。」
(アト)
「参ります。」
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