狂言 犬山伏
資料について
本資料は狂言の台本である。管見の限り、沖縄県内で王国時代に書写された狂言台本はこれまで例がなく、王国時代の大和芸能の受容について大変重要な資料であることがいえる。欠落は多いが、おおむね全体の内容がうかがえる。翻刻に際して、国立国会図書館デジタルコレクション所蔵の江戸期版本(幸田露伴校『狂言全集』(1903年刊)、芳賀矢一校『狂言二十番』 (1903年刊)、山脇和泉著『和泉流狂言大成』 (1916-19年刊)、野村八良校『狂言記』 (1925年刊)、芳賀矢一校『狂言五十番』 (1926年刊)、笹野堅校『能狂言』(1942-45年刊))を参考にしたが、結果としては参考資料と内容が完全に一致しなかった。また、内容の一部は「柿山伏」「禰宜山伏」と同じ部分があり、今後は薩摩や九州に伝播した狂言本などと比較し、同種の台本を同定する必要がある。「柿山伏」については近世初期すでに琉球に伝播していたことが指摘されているため、本資料の内容を精査する必要がある。