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  • 現代語訳

「2
アト
いや。見ますれは御士さうに御座まする。御列には似合
ますまい。私は御先に参りませう。
シテ
いや列には似合たもあり、似合ぬもあるものしや、
       アト
必同道致さう。必御先に参りませう。
シテ
◦いや是〃同道めさるまいが、はあ致ませう〳〵。
◦笑是はされ事しや気に御かきやるな、
アト
こは〔欠〕座りませう。
シテ     アト
◦さ〔欠〕れ、何が扨こなた。御先へ
御〔欠〕て御行やれいと云に、
アト   シテ   アト    シテ
はあ〔欠〕◦御坊〳〵、はあ。◦わこりうは
            アト
とれからとれへ御行やる、私ハ西近江から
          シテ
東近江へ参りまする。かてんしや西通江から
             アト シテ
東近江へからこるしやまて、はあ◦御供申さう、
アト シテ   アト シテ
はあ◦御坊〳〵、はあ。◦わこりに尋のろ事が
   アト
あろ、それは如何様な事て御座りませる。
シテ
◦この長刀をこう、かまへ之がはやかろうかこう、

「2
(アト)
「いや、拝見するとあなたは武士のようにお見受けします。
私はその列にはふさわしくありませんので、先に参ります。」
(シテ)
「いやいや、列には似合う者もいれば、似合わぬ者もいるものだ。必ず一緒に行こう。」
(アト)
「いや、どうしても私は先に行かせていただきます。」
(シテ)
「いやいや、必ず一緒に行くのだ。
(笑いながら)まあまあ、そんなに気にしなさんな。」
(アト)
「では、ここに座りましょう。」
(シテ)
「さあ、それでは……。」
(アト)
「さて、どうしたものか。私は先に行けと言われたのに。」
(シテ)
「おい、僧よ。」
(アト)
「はい。」
(シテ)
「そなたはあちらへ行こうとしているが……。」
(アト)
「私は西近江から東近江へ参ります。」
(シテ)
「ふむ、西近江から東近江へ行くのか、東近江から戻るのか、それとも……。」
(アト)
「はい。」
(シテ)
「よし、私もお供しよう。」
(アト)
「はい。」
(シテ)
「僧よ。」
(アト)
「はい。」
(シテ)
「ちょっと尋ねたいことがあるのだが。」
(アト)
「それはどのようなことでございますか?」
(シテ)
「この長刀をこう構えたら速いか、それともこう構えた方が速いか?」
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