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- 現代語訳
「11
之宗記を相続し家業を保守し揚名顕親
光前耀後事は金子孫之身上に任置候此故に
子孫人柄好けれは家道昌盛ニ成候子孫人柄悪けれは
家道消敗す是眼前見易て人皆知る事に而
大家小家共ニ誰か子孫を重する事を知さらん誰か
子孫之賢なれと願わさらん然に子孫賢なる者は
少て不賢なる者は多し是は如何成故そといふに
為父祖者子孫を致愛惜候得共愛惜するの道を
(為父祖者子孫を致愛惜候得共愛惜するの道を の一行見せ消ち、墨筆で囲む)
不知故に子孫不勤油断ヶ間敷素性を懐て
不賢之者多有之候愛惜之道と申は教訓之二字
一時も不可欫候古は婦人懐孕之時口不食邪味目に
不視邪色耳に不聴淫声是を胎教と申候
如此するときは生るゝ子形容端正にして聡明過人
子孫生なからにして知者なし必教訓に因へし
子能飯を食すれは右之手を使ことを教へ子能(以下、続きは次丁。)
「11
そもそも、人が家を継ぎ、家業を守り、名を挙げて親の名誉を高め、先祖に誇りをもたせることは、すべて子孫の務めである。そのため、子孫の人柄が良ければ、その家は栄える。逆に、子孫の人柄が悪ければ、その家は衰えてしまう。これは、誰の目にも明らかであり、誰もが知っていることである。
大きな家であろうと、小さな家であろうと、誰もが「自分の子孫を大切に思わない者などいない」。また、「子孫が賢くあってほしい」と願わない者もいない。しかしながら、賢い子孫は少なく、愚かな子孫のほうが多いのが現実である。それは、いったいなぜだろうか?
その理由は、親や祖父母が子孫を深く愛しているものの、「正しい愛し方」を知らないからである。そのため、子孫を甘やかしてしまい、怠け癖がつき、だらしなくなり、愚かになってしまうのだ。
子孫を正しく愛する方法とは、「教訓(教育)」の二字に尽きる。これを、一時たりとも怠ってはならない。昔から、賢い女性は妊娠中に、「口に邪(よこしま)な味をせず」「目に邪なものを見ず」「耳に淫らな音を聞かない」こうした行いを 「胎教」 と呼ぶ。
このようにすれば、生まれてくる子は、容姿端正で聡明な子になる。「生まれつき賢い子はいない。すべては教育によるものだ。」子が食事をするようになれば、右手を使うことを教え、子が言葉を (以下、続きは次丁。)
