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「9
不和睦者科之軽重数ヶ条公儀御定有手候縦令
王法之罪は逃得候共決而天報は不逃得候因て
古人之事跡左記
(台)王有道と云人あり性質に厚なり隣人呂大黄といふ者
王か宅の地基を侵す王有道か云千年の田地八百之
主たとひ再ひ侵とも不苦又隣人の雨たれ水王か
宅内に漏下王有道又田天晴之日は多し雨降日ハ
宅内に少したとひ少々滴とも苦からす隣人
小児を生王家に叫(嗚に馬を見せ消ち)驢馬壱疋あり小児
を驚さん事を存て驢を売て寄行す有道か
祖の墳の上に諭祭の碑あり牛飼共彼碑を
椎倒を墳番之者来て右之次第をいふ有道問て
曾而人を傷や否や番之者答て左様之事は
なし有道(田を見せ消ち)曰碑倒ハ小事なり郷辨之情を傷
(可を見せ消ち)不可有と云り故に郷里欣慕せさる者はなし敬之
愛之後に官尚書ニ至る此能郷里ニ和睦なる

「9
郷里の人々と不和を起こす者には、罪の軽重に応じて罰がある。
たとえ王の法律による処罰を逃れることができても、
天罰からは決して逃れることはできない。
そこで、以下に、昔の人の事例を記しておく。
「王有道(おうゆうどう)」という人物がいた。彼は心が広く、情に厚い性格であった。あるとき、隣人の呂大黄(りょたいこう)という者が、王有道の家の敷地を侵してしまった。しかし、王有道はこう言った。「千年続く土地も、八百人の主人が変わるものだ。
たとえまた侵されようとも、私は苦にしない。」
また、ある日、大雨が降り、隣の家の雨漏りの水が王有道の家の中へ流れ込んできた。しかし彼は、「晴れた日は自分の土地も広く感じるが、雨の日は少しばかり狭くなるものだ。多少水が漏れても、気にすることではない。」と言い、全く気にしなかった。
さらに、隣の家に赤ん坊が生まれた。王有道の家にはロバがいて、その鳴き声が赤ん坊を驚かせるかもしれないと思い、すぐにロバを売りに出し、隣人に迷惑をかけないようにした。
また、王有道の祖先の墓には、祭祀を記した石碑が立てられていた。ある日、牛飼いの者が誤ってその石碑を倒してしまった。墓守が驚き、王有道にそのことを報告した。王有道は牛飼いに怪我をさせていないか尋ねたが、墓守は「そのようなことはありません」と答えた。すると王有道はこう言った。「碑が倒れたことは些細なことだ。それよりも、郷里の人々との情を傷つけてはならない。」
このような寛大な心を持っていたため、彼を敬い、慕わない者はいなかった。その後、王有道は尚書(高官)にまで昇進した。郷里の人々と和睦できる者には、
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