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- 現代語訳
「8
問慰可申候我より年長せる人は敬礼し我と同
肖なる人は親(厚を見せ消ち)厚し我より年少者は愛情し富貴之者
を不可嫉忌貧賎之者を不可欺凌横達之者
強暴之者は嫌避可致候扨て相交之道は常に喜慶
疾病死衰之者可致問尋候水火盗賊不慮之難に
過候者又は孤児寡婦老病片輪なる者及ひ婚姻
葬礼難調困窮之者憐憫可致救済候人緞非礼を
以て我に仕掛候共我は平心和気にして礼を以て
彼に封し自始終迄恩譲せは極て不好之人も
久しては自然に感動可仕候如斯なる時は一郷の人と
和睦に可成候古語言敬人者は人恒敬之愛人者人恒に
愛之我郷党と和睦せは何之故障ニ是あらん
公私之事に付而世話亦は不意之難災有之候共
何れも快助仕ニ而可有候然時は豈是大平之世界
ならすや若和睦之二字於忘失者世路之中
難通御而声名を懐て自家も可難保候郷里に
「8
そのわけを訊ねて、気にかけて声をかけるべきである。
自分より年長の人には敬意を払い、礼を尽くす。
自分と同年代の人とは、親しく交わる。
自分より年下の者には、愛情を持って接する。
富貴な人をねたんではならず、貧しい人を侮ってはならない。
権力を振りかざす者や乱暴な者は、適度に距離を置くべきである。
また、人と付き合う際の心得として、お祝い事や病気、死や衰退した人には、必ず気遣いの言葉をかけること。火事・盗難・事故などの予期せぬ災難に遭った人や、孤児・未亡人・病気の老人・身体に障がいのある人、婚礼や葬儀で困っている人には、憐れみを持ち、助けの手を差し伸べるべきである。
たとえ、相手が無礼な態度を取ったとしても、こちらは冷静に、礼儀正しく対応することが大切だ。最初から最後まで、忍耐と譲り合いの心を持って接すれば、どんなに意地悪な人であっても、長い付き合いの中で自然と心を動かされていくものだ。このようにすれば、地域の人々とも和睦(仲良くすること)ができる。
昔の言葉に、「人を敬えば、人もまた自分を敬う。人を愛すれば、人もまた自分を愛する」と言われている。自分の郷里(地域の人々)と仲良くしていれば、何の問題も起こることはない。
公私の出来事において、助けが必要なときや、思いがけない災難が降りかかってきたときでも、互いに助け合うことで、うまく乗り越えられるはずである。そのような世の中こそが、真の平和な世界ではないだろうか。
しかし、「和睦」という言葉を忘れてしまえば、世間を渡ることは困難になる。
評判を落とし、自分の家すら守れなくなるだろう。
