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「5
婦女之者より起る此者共彼方にては好といへ此方にては
悪といへ物之勘弁も無之童僕は自分之念故に
隣所之是非得失を云程に為主人は其云を聞
信て其始終を吟味せす黒白をも不弁及喧嘩
儀有之候右節随分堪忍可仕候若堪忍不為人は極小事より
大なる禍を仕出申儀皆婦人女子より起る此儀能々
可戒事也古語に莫大之禍は類史之不忍に記と 須臾?
云り身を治め生を養者此言致志失間敷候又
和睦を不好人余多有之候人之家屋敷其外
買物代を引下或は売物代を高直ニ取或は商物
直を揚或は麁銀(ルビ:ソキん)を人に呉或は借銀銭利息迄を
引落或は遠年之旧借物を以利之上に利をかへ
其人及苦患落淚致悲歎候得共必も不便に不存
大に陰隲を破り子孫及衰敗之理を不知我は
富彼は貧我は安彼は困事も不構貧人の身上を
禿て己か勝手而己を相計得候者お心何そ忍や

「5
多くの場合、女性の言動が原因となって起こるものである。
こうした者たちは、片方では「良い」と言い、もう片方では「悪い」と言い、物事を公平に判断することがない。
また、召使いや下男たちは、自分の考えだけで隣家のことについてあれこれ言い、良し悪しや損得を口にすることがある。
そして、主人は彼らの言葉を鵜呑みにし、事の経緯をよく調べもせず、正しいか誤っているかの判断もしないままに口論に発展してしまう。
このようなことは、よく我慢すべきである。
もし我慢できない者は、ほんの些細なことから大きな禍(わざわい)を招くことになる。
こうした争いごとは、たいてい女性の言葉から生じるものであり、この点をよく戒めなければならない。
古くから「甚大な災いは、ほんの一瞬の我慢のなさから生じる」と言われている。
身を正しく治め、生活を安定させる者は、この言葉を肝に銘じて、決して忘れてはならない。
また、和睦(仲良くすること)を好まない人が多くいる。
たとえば、他人の家や土地を買う際に値段を無理に引き下げたり、自分の売る物の価格を不当に高くしたり、商売の値段をつり上げたり、質の悪い銀を他人に与えたり、借金の利息を不当に差し引いたり、昔からの借り物に対して、更に利息を重ねて取り立てたりして、他人を苦しめ、涙を流させ、悲しませても、全く気にかけない者がいる。
しかし、こうした行いは、大きく「陰徳(人知れず行う善行)」を損ない、その家の子孫が衰え、滅びる原因となることを理解していない。
「自分は裕福で、相手は貧しい。自分は安泰で、相手は困窮している」と何も気にせず、貧しい者をさらに苦しめ、自分の都合だけで動く者は、どうしてそんな冷酷な心を持てるのだろうか。
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