多田名組(原本)
資料について
この組踊作品は沖縄県内でも数件しか見られない作品である。多良間が舞台ではなく、八重瀬の多田名グスク、それから奥・辺戸である。あらすじは、上原の按司が多田名大主に殺され、生き残った長男は放たれた火でやけどを負うが生き延び、子守役の屋比久・西田の親子に助けられる。そして屋比久の発案で西田と千代松は多田名のもとに降り、屋比久は辺戸で隠れて敵討の機会をうかがう。千代松は夢にみた母と弟に出会い、二人は辺土の屋比久のもとに向かう。そして8月10日、津堅島から帰ってきた多田名を首尾よく討つ、というもの。
筆写年など不明なことが多いが、詞章の組み立て方は、外の近世の作品と類似しており、近世に創作された作品であることが指摘できる。また、千代松と母、金松との別れは「二童敵討」の母と二童との別れの場面で用いられる「伊野波節」を使用しており、朝薫作品からの影響が見て取れる。
また、本作品の後に6丁の別の作品が一緒に綴られている。この作品は孝行ものの組踊のようであるが、前半部がかけており、詳細がつかめない。
資料目次
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