忠臣仲宗根豊見親組
資料について
★この組踊作品は多良間島にしかみられない作品である。首里の国王の命を受けて、宮古の仲宗根豊見親組と村々の豊見親たちが力を合わせ、与那国島の鬼虎を倒すという内容である。筆写年など不明なことが多いが、詞章組み立て方は、外の近世の作品と類似しており、近世に創作された作品であることが指摘できる。
また、一部「二童敵討」を模写した場面(あふがまこいがまに衣装を渡す場面、酒盛りの場面で鬼虎が酒を普段飲まないが、二人に酌をされて吞むという場面)などがみえ、作者の組踊に対する知識の深さが垣間見られる。敵討の場面の前に行われる鬼虎の酒宴では、歌を詠みあい、その優劣を面白く表現している。このような場面は、現存する古典組踊の仇討には見られない、オリジナリティーあふれる演出、趣向である。